礪波護『唐宋の変革と官僚制』(中公文庫)

唐宋の変革と官僚制 (中公文庫)

唐宋の変革と官僚制 (中公文庫)

本書は同著者の『唐代社会政治史研究』という専門書の第1部を文庫化したもので、これに唐末の「安史の乱」から五代十国を経て北宋建国に至るまでの概要を冒頭に追加している。

はっきり言ってわからん。

後漢及び魏晋期をメインとする私には、唐末から北宋初に至るまでの政治的流れがさっぱりだ。地名もだいぶ変わっているし、役職名も大きく違う。しかも唐末には色々な官職が追加されたらしく、馴染みがないものばかり。基礎知識がないのに挑むべき本ではなかったと率直に思う。

ただ資料の豊富さは感じた。『舊唐書』や『新唐書』等の正史は当たり前として、『資治通鑑』『續資治通鑑』『通典』『唐會要』等々、数多の書物が引用されている。三国時代の文献の少なさに頭を悩ませる我々としては正直羨ましいを通り越してどん引きするレベルである。

手持ちの中では『資治通鑑』があるので、これを読んでから改めて接するべき本だと感じた。