趙炳清『蜀鑑校注』(国家図書館出版社)


宋の郭允蹈『蜀鑑』に対して校注した書籍。先秦時代から北宋時代に至るまで1200年間にわたる蜀の攻防が記されている。その目的は南宋存続のために蜀の地が重要であることを示すため。繁体字なので簡体字に慣れていない私にとっても読み易く、そして注釈が豊富なので本文中の単語も理解しやすい。記述は非常に簡潔で、行軍や攻略に必要な箇所を除いて、殆ど会話文は無い。また地名は沢山出てくるが地図の類は一切出てこないため、『水経注図』や『中国歴史地図集』を手元に置いておかないと厳しいように思う。

難しい経学用語は殆ど出ず、誰が何時何処を攻めてどうなったという記述が続くため、さくさく読める。本文中の記事をもう少し詳しく知りたいと願うなら、注釈を手がかりに史料を調べると良いかと考えられる。

尚、私の持っているのは初版本で、繁体字だけで構成されているはずなのに時々簡体字が見受けられたり、巻末附録のページが乱調気味と大変微笑ましいが、読了する上で大きな支障も無いし、購入したのが大分昔で今更交換もできないと思うのでこのまま使用し続ける所存である。