近藤大介『「中国模式」の衝撃』(平凡社新書)

本書は中国の生活様式、文化について述べた本である。特に日本との差異が強調された構成になっている。北京を中心とした筆者の生活体験から始まり、著者が経験した対中国人との交渉。後半は人民元基軸通貨に据えたい中国の思惑と、米国に挑む中国の姿を描く。

最初は北京で何でも壊れる、タクシー等サービスの悪さ等々を挙げているが、一方で上海における経験、乃ち以前の上海タクシーはサービスが劣悪だったが近年は顕著に向上していることから、これは中国が発展の過渡期にあるが故の状態であり、今後は色々と整備、教育研修されて改善するだろうと結んでいる。

他、中国経済についてのリスクは他書でも述べているとおりであり、特別何か目新しいと言うことはない。そして結論としても、今後は欧米消費に頼った高度成長は続かず、前例のない社会主義市場経済として試行錯誤が続き、アメリカに変わる経済大国へ成長できるかは道半ばとしている。


いずれにせよ、今後しばらくは中国とアメリカが軸となることは確実である。日本はアメリカに付くのか、中国に付くのかという選択肢の間で揺れ動いているように見える。この現実の中、日本は如何なる選択肢を採り得るのか。著者は後書きでこう述べる。

 総じて言えば、日本はGDPの日中逆転など気にせず、「量から質への転換」を図ればよいのである。先端技術、サービス力、クール文化という「三種の神器」を駆使した「日本様式」で邁進し、中国の巨大市場を活用していけばよいのである。

これを官民挙げて取り組むことが、日本が生き残る道だとする。さて、日本は日米の狭間で埋没せずに何処まで生き残っていくことができるだろうか。